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2012年 04月 30日
初めて日本で開催された世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)グローバルサミットが、盛会裡に終了した。3月の東日本大震災の発生で、東京開催から仙台・東京の2都市開催に変更したが、被災地・東北で開催することの意義を十分に果たしたWTTCサミットとなった。
WTTCグローバルサミットは、常に世界におけるツーリズムの果たす役割と課題を議論し、ツーリズムの発展のためにWTTCが果たすべきことを提言する。 今回は仙台では被災地・東北、日本の観光復興へツーリズム産業が全面的に支援することを約束するとともに、東京では「東京宣言」を採択し、ツーリズムを阻害する要因としてビザ問題を取り上げ、ビザ問題の改善を各国政府に求めていくことで合意した。 仙台サミットは「特別」な開催で、通常のWTTCサミットとは趣を異にする。参加者2000人の6割が仙台と東京を訪問。仙台に関する関心の高さが伺われた。とくに、プレツアーで被災地を訪問した参加者は、ツーリズムによる東北復興の思いを強くしたに違いなく、そのことをメディアは自国に向けて報道、ツーリズム関係者は東北・日本に向けて旅行者を送客することで、仙台開催の目的は果たしたと言える。 仙台サミットでは、観光復興とともにアジア・ツーリズムについても議論された。アジアでは、中国・インドの大国と東南アジアを中心にアジアの旅行市場が拡大し、とくに、スマートフォンとソーシャルネットワークサービスの果たす役割は大きく、これに対応しなければツーリズムは生き残れないとの指摘もあった。 また、拡大を続ける中国の旅行産業は、他の中国の産業と同様にM&Aを推進。CITSのロン社長は、欧米に負けない世界的な企業グループに拡大することをめざすと明言した。 アジアで事業を展開する欧米のツーリズム企業からは、ローカルニーズに適応したグローバルブランドの構築が指摘され、今後のアジア・太平洋域内の旅行が拡大する中で、「グローカル」がキーワードになるとの印象を受けた。 グローカルは、日本企業の海外進出でよく使われた言葉だが、世界のツーリズム企業のトップが、「アジアではグローバルでローカルな視点が重要」と語るのを聞くと、ツーリズムはこれからだが、日本を代表する企業の先見の明を強く感じる。 一方で、東京サミットは従来のWTTCサミットを踏襲するスタンダードなものとなった。仙台サミットでも最終的には語られていたが、WTTCサミットでは、ツーリズム産業を発展させるために規制緩和が必要であり、その実現に向けて各国政府に強く働きかけることが指摘された。 WTTCは有力企業・団体で構成される「圧力団体」であり、各国政府に対して強力なロビー活動を行うことが目的の一つ。米国のUSトラベルアソシエーションなどを見ても、欧米は各産業のロビー活動が当たり前のように行われており、日本とこの辺は文化が違う。 今回のWTTCサミットの「東京宣言」で、ツーリズムを阻害する要因として、ビザ問題の改善を各国政府に求めていくことで合意した。例えば、日本は中国に対して観光ビザを段階的に緩和しているが、数次ビザは沖縄のみ。こうした各国の事情、いわば国内問題をグローバルな問題として取り上げていくのがWTTCなどの役割なのだろう。 日本のツーリズム産業がグローバル化していけば、中国から日本へのビザ緩和などもグローバルな視点で論議されていく。日本は海外進出、アウトバウンドではグローバルなのかもしれないが、インバウンドはまだまだ国内事情が優先される。 WTTCへの日本からのメンバーは、JTBに加えてJR東日本も加盟するという。今回のWTTCサミットを一過性のものとしないためには、日本のツーリズム企業の加盟拡大が必要。いずれ観光立国の成功モデルとして、もう一度、WTTCサミットが日本で開催されることを期待したい。(石原)
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