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岩波書店が刊行した「ひとびとの精神史」は、時代を10年で切り分け、1940年代の第1巻「敗戦と占領」から2000年以降の第9巻「震災前後」まで、その時代の有名、無名の100人を選び、その象徴的な出来事を通じて、合わせ鏡のようにその時代の精神を映し出す。 その中の第7巻が1980年代「終焉する昭和」。「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と評され、「強い日本」に戻るべく「戦後政治の総決算」を旗印に憲法改正を目指した中曽根康弘元首相から、「国際化とナショナリズム」、「天皇と大衆」が様々な人々を通じて語られる。 その中の「国際化とナショナリズム」で取り上げられるのが、「『地球の歩き方』創刊メンバー−日本型海外旅行の精神−」だ。 編者の杉田敦氏はプロローグで、「プラザ合意による円高は、思わぬ効果をもたらした。それは海外旅行の一般化。格安航空券がふえ、学生など若いひとびとが世界に飛び出したが、そうした中で、大いに利用されたのが、『地球の歩き方』シリーズ。素人の投稿に基づくガイドは、型にはまった旅行経験とは違うものを、日本のひとびとに経験させた。そうした視野の広がりも、バブル崩壊と共に終わる」と記している。 「『地球の歩き方』創刊メンバー−日本型海外旅行の精神−」を執筆したのは山口誠氏。山口氏は、「ニッポンの海外旅行 若者と観光メディアの50年史」を筑摩書房から、「『地球の歩き方』の歩き方」を山口さやか氏と共著で新潮社から著している。 本書では、地球の歩き方メンバーを通じて、1980年代の海外旅行ブームを掘り下げる。この本を読んで、「地球の歩き方」の成功の影には、多くの偶然と必然があったことを実感する。創刊メンバーの安松清、西川敏晴、藤田昭雄、後藤勇の4氏がめざした「自由旅行」のガイドブックが、「貧乏旅行のバイブル」となり、時代の寵児のようにもてはやされ、やがて世間から批判されることを彼らはどう思っていたのか。相当の戸惑いがあったのではないかと推察する。 この時代の海外旅行の主役は旅行会社であり、パッケージツアーだ。若者のバックパッカー的な旅行は世間の耳目は引くが、言うならば「サブカルチャー」的な存在で、主役足り得なかった。 「地球の歩き方」は自由に個人旅行するためのガイドブックで、格安でカネを使わずに旅するにも一役買うが、それは一部。個人旅行が主流の現在の役割が本来の姿だ。それなのに、そうした「バックパッカーのバイブル」のように祭り上げられたのは、彼らの本意ではなかったと思う。 だが、1980年代を象徴する「ひとびと」として、「地球の歩き方創刊メンバー」が名を連ね、彼らを通じて、時代の出来事として「海外旅行」が取り上げられることは、旅行業界にとって意義深い。 「地球の歩き方」創刊メンバーは、海外旅行業界の代表として、錚々たる「ひとびと」ともに名を連ねている。80年代に多くの人に影響や衝撃を与えた上野千鶴子、奥崎謙三、美空ひばりと並んでいるのだ。 「日本の海外旅行」が1980年代の人々の経験、精神に大いなる影響を与えたということだ。但し、編者が言うように海外旅行、「視野の広がり」が「バブル崩壊とともに終わった」とは思わない。戦後経済の成長の中で、アジアで一足先に海外旅行の素晴らしさを経験したが、いまようやくアジアの国々と追い付き、これから共に成長していくと信じている。 それにしても、本書を読んで、今の時代が1980年代に似てきていると改めて思った。中曽根元首相の「戦後政治の総決算」は、安倍現首相に引き継がれていくのか。「地球の歩き方創刊メンバー」の隣の項は宮崎駿氏。彼は時代に何を思うか。ぜひ知りたいところだ。(石原)
by yoshiro.ishihara
| 2016-07-04 00:00
| 航空・旅行
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