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新年明けましておめでとうございます。 2004年の幕が開けた。今年は旅行業界にとって良い年であるように切に願う。 2003年は本当に厳しい年だった。イラク戦争、重症急性呼吸器症候群(SARS)、とくにSARSは海外旅行業界にかつてない試練を与えた。誰が、中国・香港をはじめとしてアジアへの旅行需要が壊滅的な状況に陥ると予想しただろうか。 また、2001年の米国同時多発テロ事件の時は、「旅行産業は平和産業」と合い言葉に、旅行業界は乗り切ったが、2003年はそうした言葉も霞むほど、自衛隊のイラク派兵が現実のものとなり、テロの一層の深刻化により、「平和と軍事」が「合わせ鏡」であることを実感した年でもあった。 現段階では、SARSに対する各国の検査・隔離体制が功を奏して大事に至っておらず、今冬はSARS封じ込めに成功するものと期待される。一方で、イラクのフセイン元大統領は逮捕されたものの、各地のテロは沈静化するどころか、拡大する様相を呈している。2004年も旅行需要がテロに影響を受けることは避けられないだろう。 こうした外的要因とともに、旅行需要にとって最も重要である日本経済は上向くとの観測もあるが、その実態は非常に不透明だ。確かに、円高の傾向にはあるが、景気がしっかりとした足音を立てて、上昇傾向にあると感じる消費者は少ない。どの調査でも、収入は右肩下がりに推移すると出ており、そうした中で、消費者が積極的に旅行に出掛けようとするには、まだまだ時間がかかるだろう。 2003年の海外旅行者1300万人台と比べれば、2004年は余程の外的要因がない限り、1500万人台程度にまでは回復するとみられるが、テロ以前の2000年レベルの1700万人台まで戻るには2005年以降を待たなくてはならないだろう。 2003年の旅行業界はSARSの影響を反映して、再編の波を感じる年だった。とくに、大手旅行会社が経営改革に積極的に乗り出したことが非常に注目される。 最も注目されるのはJTBの経営戦略だ。ビジネス渡航部門のJTBビジネストラベルソリューションズの拡大、ウェブ事業の成長、企画部門のJTBワールドバケーションズへの統合、トラベルデザイナー新宿に代表される格安旅行市場への本格的な参入、熟年市場向け高額商品店舗の開設、PTS買収によるリテール部門の強化、教育旅行の見直しと、2003年だけで矢継ぎ早の施策を断行した。2004年はこれらの収益性を高めるためにコスト構造の改革に本格的に乗り出すだろう。 JTBの佐々木社長は本紙のインタビューにあるように、グループ全体での徹底した業務見直しと、コスト削減を進め、グループ拡大路線を積極化させている。佐々木社長が言う「単体から連結経営へ転換」し、将来的には「JTBグループがオンリーワン企業の集合体」となり、「熟年旅行ならこの会社、と顧客に認知されるようなオンリーワン企業が、JTBグループの中に15社も20社もできて、それがグループを構成するようになったら完成だ」という発言が象徴的だ。 JTBは全ての分野でオンリーワンを目指していく。この影響を受ける旅行会社は少なくないはずだ。リーディングカンパニーであるJTBがこれほどの競争強化、体質改善を打ち出しているからには、他社も旧体質から脱却しないと本当に生き残れない。2004年はJTBがさらに攻めの戦略を打ち出してくると予想される。 その一方で、近畿日本ツーリストは昨年、クラブツーリズム事業を営業譲渡し、今年は近ツーとクラブツーリズムが親会社近畿日本鉄道の資本関係は残るものの、別々の道を歩むことになる。近ツーは累積赤字を一掃し、新しいスタートを切り、一方で、クラブツーリズムは会員制旅行事業、メディアによる旅行商品の販売に専念する。 袂を分かった近ツーとクラブツーリズムが凌ぎ合って、今後どう展開していくか注目されるが、一時期、近ツー自体の業界での影響力が弱まることが懸念される。独自展開していくクラブツーリズムよりも、近ツーが再生できるかの方に業界の関心は高まるかもしれない。 今や、海外旅行業界でJTBと並ぶ立場にHISが存在することは否定できない。澤田HIS社長は自ら「旅行業界の異端児」と語るが、実際の影響力はJTBに次ぐものであることは誰しも認めざるを得ない。仮に、旅行業界に「本流」と「異端」が存在するなら、「本流」であるはずの大手旅行会社が厳しい経営環境にさらされ、「異端」のHISが隆盛を極める現実をどう直視するのか。 HISが開拓してきた格安航空券市場を「ニッチ」と決めつけてきた旅行業界に問題があり、市場が拡大すれば、その分野に参入していく現実を見れば、旅行業界に「本流」も「異端」も存在しないことがよく分かる。 そのHISも2003年10月期の決算で、創立以来の「減収減益」決算となった。イラク戦争、SARSの影響によるものだが、それでもHISは時代を見据えた戦略を立てている。 澤田社長が語る3つの世代論は非常に興味深い。大手旅行会社をはじめとする既存の旅行会社が開拓した「団塊の世代より上の55才〜60才台の第一世代」、HISが開拓し30代から団塊の世代を含む50代前半までの第二世代」、そしてこれから開拓しなければならない「20代以下の第三世代」。 澤田社長は第三世代について、「インターネットの層なのか、海外旅行を国内旅行のように感じている層なのか、逆に海外旅行はいつでも行けると考えているのかわからないが、このマーケットが今、確実に起こりつつある」と語る。 この世代をどう取り込むかが旅行業界の課題になるとの見方だ。 もう一つ、団塊の世代が熟年層に入ると熟年市場が巨大な旅行マーケットになる。団塊の世代の旅行意欲は高く、このマーケットをどのように取り込むかが、旅行業界にとっての最大の課題となる。 ただ、この世代は、今までのようなパッケージツアーでは満足しない世代でもある。この世代に最適な旅行商品を提供できる会社が勝ち残れるのかもしれない。 海外旅行業界は「第三世代市場」と来たるべき「熟年市場」の二つのマーケットを抑えることができた企業が勝者となるだろう。 それがパッケージツアーからFITへのさらなる移行であることは疑いようがない。さらに付け加えれば、「FITとSITの融合」をパッケージで組むことが、これからの旅行商品の主流になるのではないか。 ジャルパックの梶社長は「I'll、AVAを基本としつつも商品のアラカルト化を進め、“多品種少量”生産を推進する。消費者ニーズの多様化と細分化は想像以上のスピードで進んでおり、旅行業界がSITと呼んでいたスペシャルな旅が、既に一般化し、多品種少量生産の中で、利益を残せる企業だけが生き残る」と語る。 大手旅行会社がSITに取り組むことは、仕入やコスト的な問題で、大きな負担が掛かるが、この分野に積極的に乗り出さない限り、時代の流れに追いつかないという認識だ。 これまで専門の会社が手掛けてきたSITの分野に、大手ホールセラーが積極的に進出する。これに影響を受ける企業も少なからず出てくるだろう。新生「JTBワールドバケーションズ」が手掛ける最初の2004年度上期ルックJTBも、SIT・FITの色彩が濃いものになると予想される。 今や、旅行の主流は従来のパッケージツアーからFIT・SITへと移行している。その中で、他社も従来型のパッケージツアーの見直しが急がれる。そのためには、企画とともに仕入も変えていかなくてはならない。さらに言えば、コスト構造も改革しなければならない。ITが一段と加速する中で、新しい流通に合わせた企業体質の構築が期待される。 旅行業界におけるIT化の波も著しい。2004年はさらにITによる流通改革が押し寄せるだろう。電子パフレット化は一層進み、さらに進化していくことになろう。各社ともに、eトラベル事業、ウェブ事業に本格的に取り組む時代になる。 JTB、ANAセールス&ツアーズはウェブ事業に本格的に取り組むことを明言している。JTBは昨年4月にウェブ事業部を設立、JTBの中で大きな柱として育てていくことを決めたが、ANAセールスも2004年度から始まる中期計画の中で、ウェブ事業の展開を最大の柱に掲げている。 旅の窓口を国内サイドの宿泊サイトに育て上げ、楽天トラベルを手掛ける岡武氏は、旅行業界のウェブ事業について、「旅行代理店がインターネット事業を拡大することは、自己矛盾に陥る危険性を少なからず抱えている」と述べ、大手企業の中でニッチな分野であるウェブ事業が、基幹事業が優先される大手企業の中で「融合することは非常に難しいと思う」と語る。 これをどう克服するか。JTBの中でもウェブ事業は異質な存在と移るが、「オンリーワンの集合体」をめざすJTBが、この部門を独立させる可能性もあるかもしれない。 国内旅行市場も大きく変わっていく。HISの澤田社長は、国内旅行について、「まだ本格的に取り組んでいるわけではない」としながらも、「30〜50%程度の勢いで伸びており、本格的に取り組めば数百億円まですぐに拡大できる」と語る。 HISの強みは他の大手旅行会社と違って、ホテル・旅館との取引慣習などといった旧体質と無縁で、システムがシンプルであることだ。「数年後には国内旅行にも本格的に取り組む」と明言しており、その時は国内旅行のシステム自体が大きく変わる可能性もある。 今は、HISの国内旅行取扱高も小さく、大手旅行会社は脅威に感じていないだろうが、いずれ国内旅行も流通変革が起きることを認識しなければならない。海外旅行と比べて高すぎる国内旅行のコスト構造を見直さなければならない時が必ず来る。 スカイマークエアラインズは今年、北海道、沖縄へのチャーター便の運航を計画している。当然、HISと協力しながら商品化していく。もはや、レジャー需要では、海外、国内という概念は時代遅れなのかもしれない。 ジャルパックの新町会長はリゾートという観点からすれば、「今の消費者はハワイ、グアム、沖縄は同じ選択肢、旅行業界だけが海外と国内という分け方をしている」とかつて述べていた。 同じことをANAセールスの大野社長も昨年11月末からの羽田−金浦チャーター便の運航に際して、「羽田−金浦は札幌や沖縄へ行くのと同じような国内感覚で販売したい」と述べ、さらに「国内感覚」について、「スカイホリデーで羽田−金浦を商品化してもいい。スカイホリデーは国内、ハローツアーは海外と分かれているが、例えば上海まで含めて国内領域とするなどの大胆な発想が必要だ」と踏み込んだ発言をしている。 海外旅行からスタートしたHISも海外の手法を国内に取り入れる方法を研究している。そうしなければ価格が安くならないからだ。 海外旅行、国内旅行という区別から、旅行目的に合わせた区別に変わっていくのかもしれない。それにはシステム構造を変えなければならないが、消費者の認識がそうである以上、旅行業界にそれに合わせて変革する時代に来ていると言える。 ベンチャー的な企業ほど、旅行マーケットに対する視野がグローバルだ。HISは旅行マーケットをアジア、世界的に捉えている。楽天トラベルも同様だ。とくに、アジアに関しては大きな関心を持っている。つまり、中国や韓国の国内旅行市場も事業分野として捉えている。既存の旅行会社にはない視点と言える。それが、インバウンドの拡大にも直結する予感がする。 旅行会社がインバウンドをビジネスとして考える時、どうしても採算性から価格の問題に突き当たる。しかし、航空券とホテルのみのFIT需要を増やすこと、それに合わせた取り組みが旅行業界にも求められているのではないか。
by yoshiro.ishihara
| 2004-01-05 00:00
| 航空・旅行
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