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年が明けて、正月気分も抜け、本格的に仕事モードに入った今日この頃。旅行業界は1面にもあるように、1月9日にJATAが新年会見でビジット・ワールド・キャンペーン(VWC)を正式に発表し、2010年の海外旅行者数を2000万人とする目標達成に向けて、需要喚起キャンペーンを展開する。 国土交通省は10月に観光庁を設立し、2010年の訪日外客1000万人、海外旅行者数2000万人などの5つの項目からなる観光立国推進基本計画の達成をめざす。 今後は海外旅行者数2000万人達成に向けて、民間としてできること、国としてできること、地方としてできることなどの役割分担を明確化し、同じベクトルで連携していくことが、目標に近づくことになると考える。 VWCは、JATAが2007年に海外旅行者数2000万人を目標とした「2000万人プロジェクト」を踏まえて展開されていくものと思われる。JATAのトップアドバイザリー会議では、2000万人達成に向けて、解決すべき課題を既に挙げており、それらの中には、パスポートの取得率向上や自動車免許の国際化など国や地方自治体の協力が必要なものが多く含まれていた。 また、日本ツーリズム産業団体連合会(TIJ)が進める秋休みの啓蒙、有給休暇の取得率向上、海外教育旅行の単位取得などで行政が動くことにより、旅行需要の拡大が期待される。 2007年度からの観光立国推進基本計画の実施、2008年度からのVWCの展開に大いに期待しているが、これらが一つの「絵」としては、まだ描かれてない。もちろん、VWCは2008年4月からの業務開始で、これからであることは分かっている。ただ、VWCはもっと行政との連携を打ち出すべきと思う。 国交省は2010年の訪日外客1000万人を達成するために、双方向観光交流「2ウェイ・ツーリズム」の促進を各国の観光当局に対して表明しており、観光立国推進基本計画に海外旅行者2000万人が盛り込まれたのも、それがあるからだと思う。国土交通省、観光庁には今後も「2ウェイ・ツーリズム」の推進を期待したい。 しかし、国交省のアンケート調査によれば、国交省が「観光」を所管していることを知っている人は4割に留まっているという。航空、鉄道、自動車、道路などハードについての認知度は高いが、ソフトの認知度はまだまだ低い。国交省の英語表記では末尾に「Tourism」が付いたが、国交省=観光とはまだいかないようで、10月の観光庁設立に向けて、認知度を高めてほしい。 JATA(日本旅行業協会)もJNTO(国際観光振興機構)など観光関連団体の認知度、知名度もまだまだ低く、観光産業の地位向上とともに観光関連団体の認知度向上が需要喚起には必要なことでもある。 とくに、世界大交流、航空大交流と言われながら、それと逆な動きも一方で見られる。旅行業界が国交省、観光庁に期待することは、観光交流に対する行政の中心的役割なのだが、他の省庁にはそれと逆行する面もあり、ぜひとも指導力を発揮してほしい。 訪日外国人に対する指紋、顔写真撮影の入国制度実施の問題については既に指摘したが、今度は高村外務大臣が長期滞在希望の外国人に対して、相応の日本語能力を条件とすることを検討していると明らかにした。全くもって耳を疑う。ビザの緩和、ボーダレスの時代に対応しようって時に、わざと敷居を高くしようとするのだから驚く。自給率の低いこの国で、また鎖国でもしたいのだろうか。 トラブルや犯罪の防止の名の下に、国際化に逆行している。これで、「観光立国」なんて本当に言えるのだろうか。とにかく、国土交通省と観光庁に期待しよう。(石原)
by yoshiro.ishihara
| 2008-01-21 00:00
| 航空・旅行
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