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2008年 07月 21日
日本航空(JAL)と全日空(ANA)が原油高騰によるシンガポール・ケロシン市況の急激な上昇を受けて、遂に国際・国内路線の見直しに踏み切る。経営再建中のJALはこれまでサイパン、ハワイ、グアム、オーストラリアと観光路線の撤退を進めてきたが、今回は業績好調のANAにまで及び、燃油上昇による経営環境悪化の深刻さを物語る。
米系航空企業は日本よりも環境は厳しく、デルタ航空(DAL)とノースウエスト航空(NWA)の統合発表に続き、ユナイテッド航空(UAL)とコンチネンタル航空(COA)の提携合意もアナウンスされた。UALとCOAが提携するのも危機意識の表れで、米国を中心に航空業界は大きな再編期に入ったと言える。 生き残りを賭けての再編もさることながら、海外航空企業の路線見直しの動きは早い。UALは中部−サンフランシスコ線の運休を決めた。エアカナダも関空−バンクーバー線から撤退する。 カンタス航空(QFA)/ジェットスター航空(JST)は、JSTが中部・関空−ケアンズ線から撤退し、QFAの成田−ケアンズ線を週14便から週7便に減便して引き継ぐとともに成田−ゴールドコースト線を週5便で開設。QFAは9月に週3便の成田—メルボルン線を運休、週9便の成田—シドニー線を週7便に減便し、週3便の成田−パース線と合わせて、自社運航便は週10便となる。これにより、カンタスグループが自主運航する日本路線は週44便から週29便へと減少する。 こうした路線再編と併行して、航空会社のコスト削減は一段と厳しさを増してきた。自社はもとより関係先に対してもコスト削減を求めている。NWAが10月から、UALが来年4月から旅行会社への国際線航空券販売手数料を「ゼロ・コミッション」とするのも、欧米の趨勢とはいえ、5%から3%、一挙にゼロと急激に動いたのは、航空会社の経営環境が悪化したことが最大の理由だろう。 これに、日系企業の路線見直しが追い打ちを掛ける。JALは関空−ロンドン、成田ー西安、中部−釜山、福岡−上海、ANAは関空−グアム、中部−台北線の運休を検討する。国内線も関空・中部を中心とする路線の運休を進める。 これらを見ると、関空や中部の国際線は「風前の灯火」という印象を否めない。実は、中部−サンフランシスコ、関空ーロンドン、関空−グアム線は利用率は悪くなく、80%を超えている路線もある。それでも採算が取れないという。これは、燃料高騰もあるが、それ以前に低価格ということも要因にある。 かつて、ブリティッシュ・エアウェイズ(BAW)が関空−ロンドン線から撤退する時、当時のCEOが「利用率100%でも不採算」と言っていたのを思い出す。満席でも儲からない、または儲けが少ない路線は、燃料が高騰すれば即リストラの対象になる。国内線にしても同様で、これまでも不採算だったが、地元との関係で維持せざるを得なかった路線が、今回は運休の対象となる。 航空会社にすれば、燃料高騰による経営環境の悪化は深刻だが、逆に、これまで運休したくてもできなかった路線を整理する機会でもあるのだ。 関空会社、中部会社にしても、路線撤退は空港経営に直結するだけに、今回の路線見直しを深刻に受け止めている。関空、中部の空港使用料もこれから取り沙汰されてくるかもしれない。また、JALグループが撤退を表明している福島空港などは、仮に3路線が運休すれば、国内線便数は半減する。今後は路線存続に躍起となるだろう。 航空運賃だけでなく、原油高騰による物価高で、景気が急速に冷えこんでいる。車でドライブすると、閉鎖したガソリンスタンドが地方だけでなく都内でも目に付く。季節は猛暑なのに、気分は厳寒である。日系企業の路線運休が他社に波及することを考えると、燃油高騰がこのまま続けば、ウインタースケジュールは文字通り、航空・旅行の「冬の時代」の到来となりそうだ。(石原) by yoshiro.ishihara | 2008-07-21 00:00 | 航空・旅行
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