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2017年の日本人の海外旅行者数は前年比4.5%増の1789万人だった。観光庁がまとめた2017年の主要50社の海外旅行取扱高は6.8%増と、海外旅行者数の伸びを上回った。日本旅行業協会(JATA)の菊間潤吾副会長・アウトバウンド促進協議会会長が、都内で開かれたレセプションで明らかにした。 2016年はOTAの台頭で、日本人の海外旅行者数が伸びているのに、旅行会社の取扱額が低迷していることが問題視されていたが、2017年は主要50社を見るかぎり、海外旅行の収益は改善されたといえる。 好景気と言われる日本の実体経済と同じで、多くの旅行会社はそうした実感はないかもしれないが、収益性の高いヨーロッパの旅行需要の回復が寄与していることが大きな要因と思う、大手各社の決算状況を見ると、2016年度に不振だった海外旅行事業が、2017年はプラスに転じている。 アウトバウンド促進協協議会の設立目的の一つは、海外旅行者数が増えているのに、旅行会社の取扱額が増えない状況から抜け出し、現地観光局、サプライヤーと旅行会社、ツアーオペレーターなどが協力して、旅行会社が新たな商品を企画・造成し、現地に日本人を送客し、早期に2000万人を達成することにあると解釈している。 昨年発足した同協議会は、6つの地域部会に分かれて活動を展開。その中では、「ヨーロッパの美しい街道・道20選」を決定するなど、欧州部会の活動が目を引いた。同協議会スタート前のチーム・ヨーロッパが「ヨーロッパの美しい村30選」を選定、商品造成に結びつけた成功事例があり、「美しい街道・道20選」は同協議会の活動して、そのレールに乗っている。 JATAが2016年以降、パリ市などとともにフランス旅行需要の回復に尽力したことを見ても、JATAとアウトバウンド促進協議会の活動が連携して機能している。 また、東アジア部会は世界遺産のない台湾で、「世界遺産級台湾30選」を選定し、新たな展開を見せた。こうした動きは、欧州部会の活動の波及効果と見ることもできる。 アウトバウンド促進協議会の1年間の活動を見て、今後の課題の一つは、現地観光局、サプライヤーの「公平感」「バランス」を保つことではないかと思っている。どうしても欧州部会の活動が突出しており、他の部会が同等の活動をするのはなかなか大変かもしれない。 だが、そうしないと、現地観光局サイドに「不公平感」が生まれ、バランスを欠くことになる。この辺りは非常に難しい部分ではあるが、活動事例を共有化して、ぜひ公平に進めたいところだ。 旅行会社も各国・地域観光局も、お互いに競争関係ある。アウトバウンド促進協議会の設立目的に「海外旅行業界内で相互利益なる情報を積極的に共有し」とあるが、競争している中で「相互利益」を見出すことが課題だろう。 一国・一地域と旅行会社なら、利害が一致して、デスティネーションキャンペーンが展開できるが、複数の地域と旅行会社が競争関係を超えて、相互利益を見出して活動するわけで、非常に難しいが、これを乗り越えて、具体的な活動を展開したい。 これはアウトバウンド促進協議会を超えてJATAの役割だと思うが、ミクロネシアの旅行需要回復に対して、旅行業界全体でより一層の協力をすべきではないか。 かつて、日本の海外旅行を支えたマリアナは日本人旅行者が年々減少し、定期便運休の現実にさらされている。グアムは北朝鮮ミサイル問題から旅行者数が減少している。ミクロネシアの旅行需要回復に全面協力する姿勢を示すこと、そして需要回復に向けて、現地観光局やサプライヤーと議論を重ねて、ミクロネシア旅行商品の企画・造成を具体化していくことが必要と考える。(石原)
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by yoshiro.ishihara
| 2018-03-12 00:01
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