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9月に開催された「JATA旅博」に参加するため、世界中から旅行関係者が来日した。世界の旅行関係者が一堂に会することが、「JATA旅博」の開催意義の一つであると思う。 旅博の期間中、その前後を含めて多くのデスティネーションのセミナー、レセプションが開催された。それらに参加してみて共通点があることに気づいた。 今回の旅博にはイギリス、フランス、ドイツの欧州を代表する国の観光局が出展しなかったことは前にも触れた。これはやはり残念なことで、この3カ国が出ていないと欧州の「飛車角落ち」のように感じてしまう。 この件について、フランス観光開発機構のフレデリック・メイエール日本代表は、「全世界的な方針として見本市への出展は少なくする傾向にあり、今後はターゲットとテーマを絞って消費者にアプローチする」との方針を示した。 フランス観光開発機構は日本市場について、ターゲットを女性とシニアに絞り、来年は「フランス女子会」を立ち上げる。また、テーマもミディ・ピレネー地方などパリ中心からフランスの地方観光に焦点を当て、フランス全体に観光需要を広げていく姿勢を打ち出した。 こうした傾向は、海外旅行が成熟してきている日本から欧州への旅行ではとくに強まっている。イギリスでもロンドンから近郊、マンチェスター、リバプール、さらにはスコットランドとイギリス全体に旅行者が広がっていく傾向にあり、英国政府観光庁も地方観光のプロモーションを強化している。 ドイツでも、最近は日本のサッカー選手がブンデスリーガで活躍していることもあり、所属する地方都市が日本で取り上げる機会が多くなってきた。こうした機会を捉えて、ドイツの地方の魅力をプロモーションしていくことが効果的なのかもしれない。 欧州の地方へFITで旅行できる人は別として、一般には、飛行機、電車を乗り継いで個人旅行をするのはエネルギーがいる。効率的に欧州で興味のある地方へ行きたいとなれば、それに対応したパッケージツアーを探すことになる。これまでは、そうしたパッケージツアーが大手では少ないのが現状だった。 海外旅行が多品種少量時代に入ったと言われても、パッケージツアーの場合はどうしても集約化される。もっと欧州の地方へ、もっとリーズナブルに行くことができる旅行を消費者は望んでいる。 それを最も印象づけたのが実は「JATA旅博」だった。アメリカのブースは各州、各市の観光局が出展していて、一般参加者はそれぞれ興味を持ったブースを見たり、説明を聞いていた。 欧州についても一般の参加者は国名もあることながら、地方名を挙げている人も多かった。JATA旅博へ来る一般の参加者も、実はデスティネーションやテーマを絞っている人が増えている。もちろん、JATA旅博で、旅の気分を味わおうというは多いだろうが、来場者も多様化してきている。 日本の海外旅行市場が成熟し、観光は女性とシニアが牽引していることは事実。そのターゲットに対して、テレビ番組、SNSをプロモーションに活用する手法が増加している。それらは効果があると思うが、もし、日本人の旅行者を主要都市から地方へ広げたいなら、地方との出会いの場が必要と考える。JATA旅博はそうした場でもある。 JATA旅博、その後のデスティネーションをセミナーに接すると、海外旅行が周遊から国・都市、そして地方へと広がっていく印象を持つ。日本だけではない。地域活性化という目的もあるだろうが、旅は地方を訪ねる時代に入ったと言えるのかもしれない。(石原)
by yoshiro.ishihara
| 2012-10-15 00:00
| 航空・旅行
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