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2015年度の観光庁関係予算は14年度補正予算を含めると、前年比41%増の146億3600万円の大幅増額だが、当初予算要求の185億5500万円と比べると約40億円減額された。これについて、観光庁は、消費税の10%値上げが先送りされ、税財源が減少し、全体が厳しい状況の中で、前年を上回る予算額を確保でき、とくに2014年度補正予算を含めると、過去最大の予算額になった。 ただし、2015年度の観光庁の当初予算については、前年度比1%増の99億1000万円、復興枠を含めると前年度並みの103億9000万円と横ばいで推移した。増加したのは14年度補正予算分で、これによって予算額は4割増と大幅に増額した。3年連続の「15カ月予算」の中で、観光庁に限らず、増額分を補正予算で充当する流れにあり、今後の予算編成で気になるところだ。 観光庁予算の最大事業である「訪日2000万人時代に向けたインバウンド政策の推進」は当初要求額よりも38億円減額されたが、15年度予算で前年度比1%減の84億5100万円、補正を含めると46%増の124億1700万円と約5割の増加を果たした。 このうち、日本政府観光局(JNTO)の運営費交付金は65億4200万円、補正の34億1600万円を合わせて5.2倍の99億5800万円に増額した。これは、観光庁からJNTOにビジット・ジャパン事業とMICE誘致が移管されるためだが、これにより、JNTOの責務は重大になる。 とくにビジット・ジャパン事業は、JNTOへの実施主体の移管により、海外の企業や広告事業者等と直接契約ができることになり、効率化が図られる。また今回、補正予算で計上された新規インバウンド需要創出事業より、JNTOが主体的に事業を舵取りすることになったことで、JNTOへの事業移管が前倒しされる。 そのため観光庁では、「少ない額で効率的に、これまでと同様の効果が出せる」として、JNTOに成果を求める。ビジット・ジャパン事業は、中国の沿岸部・内陸部への強化、さらに、フィリピン、ベトナム、インド、イタリア、ロシア、スペインの6市場が加わって14市場から20市場に拡大される。2015年はJNTOの真価が問われる年となりそうだ。 また、JNTOにビジット・ジャパン事業とMICE誘致の実施主体を移管するものの、観光庁でも両事業の一部を引き続き実施する。このうち、ビジット・ジャパン事業では、地方との連携事業が中心となるほか、地方自治体との調整や共同の取組、海外の在外公館との連携事業などは観光庁が担当する。 また、15年度観光庁予算で新規事業の目玉だった「広域観光周遊ルート形成促進事業」は、当初要求の14億円から3億400万円、補正を合わせて5億5400万円に留まった。 このため、広域観光周遊ルートの支援先の絞込みなどが懸念されるが、観光庁は、「広域観光周遊ルートをやみくもに全国で形成しても意味はない。ゴールデンルートに次ぐルートをつくらなければならない。その意味では、各地域に積極的に(ルート形成に)取り組んでいただき、その中でよいものを選んでいく。とくに、海外にアピールできるルートを検討したい」との方針を示した。 予算額については、新規要求ということで、補正と合わせて5億5400万円で「十分に対応できる」と自信を示している。 ゴールデンルートに次ぐルートと言えば、3月14日に開業する北陸新幹線が浮かぶ。東京から長野、富山、金沢に至り、京都、大阪に抜けるルートは、もう一つのゴールデンルートに成り得ると期待が掛かる。東北、北海道へ、中国・四国、九州へと、広域観光周遊ルート形成促進事業は、訪日旅行の地域分散化を進めるための主要な事業となる。国内旅行の促進でも重要な役割を担う。観光で地方の交流人口を増大するためにも、ぜひ継続的な事業化を期待したい。(石原)
by yoshiro.ishihara
| 2015-01-26 20:21
| 航空・旅行
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