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2008年10月に観光庁が設立された当時、「住んでよし、訪れてよしの国づくり」が観光庁ビジョン、観光立国の実現に謳われていた。近年の訪日旅行の急成長で、「訪れてよし」はクローズアップされているが、「住んでよし」はなかなか難しい状況だ。 日本の少子高齢化、地方の過疎化の現状を見ると、日本の人口を首都圏一極集中から地方に分散化し、とくに、若者を地方にUターン、もしくは移住の促進を進めている。 そのためにも国内旅行の需要を拡大し、まずは訪れてみて、その場所を気に入って「住んでよし」となってほしい。地域活性化、地方創生は国内旅行の振興から始まる。 魅力ある地方には、多くの人が住み、多くの人が旅行する。日本人が知らなかった日本の魅力を海外の旅行者から教わることはあるが、基本的には日本人に魅力のないところは、外国人にも魅力はない。国内旅行の活性化が訪日インバウンドのさらなる促進につながる。2008年の観光庁ビジョンには、「すべての人が旅行しやすい環境を整備する」と謳った。 政府は去る3月28日、2017年度からの観光立国推進基本計画の改定を閣議決定した。計画は2020年までに、(1)国内旅行消費額21兆円(2)訪日外国人旅行者数4000万人(3)訪日外国人旅行消費額8兆円の達成を目標にする。 ちなみに、2016年の訪日外国人旅行者数は2404万人、訪日外国人旅行消費額は3兆7476億円で確定した。2016年の国内旅行消費額は6月に確定するが、2015年は20兆4000億円だった。2015年は北陸新幹線の開業など多くのプラス要因があり、前年の10.8%増と1割も増加した。2016年はその反動と熊本、鳥取地震の発生でマイナスとみられ、2017年はさらに厳しいと予想されている。 日本の人口が減少傾向にあり、国内旅行消費額を増やすことが物理的に難しいのに、これをプラスに持っていくのは至難の業である。 最近の国内旅行拡大に最も効果があったのは、祝日三連休(ハッピーマンデー)の実施ではなかったか。これまで、休暇取得、休暇の平準化など、政府や有識者会合で様々な議論がなされたが、結局は抜本的な効果を得られなかったが、成人の日(1月15日)、海の日(7月20日)、敬老の日(9月15日)、体育の日(10月10日)を月曜祝日とすることで、年に4回の3連休を実現した。 「世界最低水準」と言われる有休取得率の中で、海の日だけで2000億円の効果が創出されるなど、旅行・観光・運輸などの業界だけでなく、国民に国内・海外近距離の休暇の機会を与えるなど効果は絶大だった。 ただ、海の日をはじめとして祝日固定化の機運が高まっている。かつての祝日固定化の時代を知っている人は、例えば、成人の日が1月15日であることを知らない人も増えている。これは、国全体で祝日の日の意味を啓蒙する必要がある。 また、働き方改革・休み方改革の中で、有給休暇取得を促進し、祝日を固定化することで、4連休、5連休が生まれるという意見もある。但し、これは効果が出るのに長い時間が掛かる。 菅官房長官は、内閣官房と観光庁の体制強化を進める中で、「今年は観光ビジョン実現の年で、この流れを止めてはいけない」と強調した。 政府が観光立国推進基本計画で目標とする国内旅行消費額21兆円を達成するには、祝日三連休の維持は必要不可欠と考える。 そのためにも、祝日三連休の維持を事業者利便はもとより、一般消費者が祝日三連休の維持、拡大を望んでいることを資料・データの裏付けをもって主張すべきだ。 そして、さらに言えば、少子高齢化、人口が減少する日本で、この国の成長を維持するためには、積極的に外国人の受け入れる時が来る。いずれは、外国人が日本に「訪れてよし」から「住んでよし」に発展し、日本を訪れた外国人が日本に住みたいと思わせる国づくりを期待したい。(石原)
by yoshiro.ishihara
| 2017-04-17 00:00
| 航空・旅行
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