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パッケージツアーかFIT(手配旅行)か。一体、どちらが安いのか。エアとホテルとランドを組み合わせたFITの方が安く感じるが、実はパッケージの方が安く済む場合も多い。だが、それを消費者に、その場で証明する術がなかった。 しかし、JTBが2009年度から稼働するルックJTBの新オープン系システムでは、NFS(海外自由旅)と連動させて、自社商品については、どちらが安いのか、瞬時に比較検索できるという。 本紙のインタビューで、JTBワールドバケーションズの北島文幸社長は、「FITマーケットにも通用するような自由自在なパッケージツアーが実現する」と述べ、パッケージツアーとFITを比べることの無意味さ、さらに、それに決着を付けることに自信を示した。 北島社長は、「今、お客様が一番知りたいのは、エアとホテルを足した料金と、パッケージツアーの料金を比較した時に、どちらが安いかということ。JTBのカウンターでも問い合わせは非常に多い」として、これに対して明確な答えを出す。 旅行業界では、90年代からFIT化が時代の潮流として、本コラムで再三取り上げてきた。しかし、JTBをはじめ旅行各社はFITの波に揉まれながら、パッケージツアーを深化させてきた。JTBはマイセレクト、NFSなど、ホールセラーとしてFITに対して正面から取り組んできた。 とくに、業界が考えるほどには、利用者の中で「何が何でもFIT」という人はむしろ少数派で、多くはパッケージツアーとFITを分けて考えておらず、旅行代金や自由度を見て動いているという。 このシステムは2009年度上期商品から本格稼働、その前に来年8月から稼働させ、11月頃に09年度早出し商品を新システムで販売する。 この新システムを実際に見たわけではないので、具体的なイメージは湧かない。しかし、JTBのカウンターで、エアとホテルとランドの組み合わせで旅行に行こうとして、こちらのパッケージツアーの方が結果的に安いし、ほとんどフリープランですと言われたら、「それでいいです」ということになりはしないか。 パッケージツアーも、NFSの単品も、安い方から出てくるという。価格で競うなら、もはや勝負ありである。これに勝てる格安旅行商品やFITを販売する旅行会社は、人件費を削って薄い利益を得るか、採算割れになるかだろう。 海外旅行でも国内旅行でも、旅行会社の存在価値はパッケージツアーであれ、FITであれ、ダイナミックパッケージであれ、一つの旅行会社で購入できることにあり、広義の意味で「パッケージ」ということになる。ここの部分では、消費者は安くて自由度があれば、それを選択するだろう。 これに対抗するFITは、エアとホテルとランドをそれぞれ直接購入することではないかと思う。ここの部分を少数派という人がいるかもしれないが、実は方面的にはハワイなど相当多い。業界から見れば、IT運賃やグループレートで直販が必ずしも安いとは限らないが、消費者から見れば、中間マージンがないわけだから、直販が最も安いという「神話」が存在する。 こうしたダイレクトセールスを別すれば、業界でルックの新システムに対抗するのは、相当難しいのではないか。旅行業界としては、適度の競争が望ましいが、JTBグループがさらに強くなっていきそうな予感がする。とくに、ホールセール事業はJTBと他社の格差が広がるかもしれない。ホールセラー各社の奮起を期待したいところだ。(石原)
by yoshiro.ishihara
| 2007-09-03 00:00
| 航空・旅行
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